外道ちゃんの備忘録

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「正しい政策」がないならどうすべきか 健康に関する内容についての備忘録

第6章健康

 
保健制度に使っているGDPの割合(2006)
1位アメリカ(15.3%)
 
アメリカ:主にメディケイド(貧困層向けの保健制度)、メディケア(高齢者向けの保健制度)、退役軍人への医療補助を通じて市民一人あたりで多くのお金を使っている。
しかし、アメリカの医療制度には何らかの重大な欠陥があると信じられている
2007年のアメリカ人の平均寿命は78歳でトップ20位から外れる。
OECD諸国の中でアメリカが唯一国民皆保険制度をもたない国
 
一般に人々が病気になるのは保険制度がないからではない
貧困や栄養失調、劣悪な生活と職場の環境、不健康な行為などは保健制度へのアクセスよりも重要な健康の決定要因
⇒「健康の社会的決定要因」
 
健康とはなにか
WHOは健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であって、単なる病気や虚弱さの欠如ではない」と広範に定義
 
イギリスの国立医療技術評価機構がある措置の質調整生存率を決めようとする時には健康の質をEQ-5D法に従って評価する
⇒健康は移動すること、自身の世話、普段の活動、痛み/不快感、心配/憂鬱の5つの側面があるとするもの
EQ-5D法の利点:健康を構成するものとして病気の欠如を超えて、精神的なの(痛み、心配、憂鬱)と何らかの社会的要素(通常の活動)を含んでいること
 
イギリスの保険制度:ナショナルヘルスサービスが創設される前は、極めて不平等であった。
⇒ナショナルヘルスサービスの目的の一つ:金持ちと貧乏人のあいだの保健制度へのアクセスの不平等に対処し、女性と子供を利用時に無料の皆保険の枠組みに入れること
 
1980年のブラック報告書から読み取れる2つのメッセージ
①保健制度への平等なアクセスが健康の平等を自動的に生み出すのではなく、むしろその逆であるということ
②ほとんどすべての指標で、社会階級に応じた健康の「社会的傾斜」が存在するということ
⇒ナショナルヘルスサービスは高い社会階級の人々の健康を改善した一方で、ほかの階級の人々にはほとんど変化をもたらさなかった
⇒病気が起きてからそのメカニズムに対処することではなく、病気や体調不良を引き起こす諸条件に関心をシフトさせるべき
 
多くの体の病気、疾病、障碍の原因と改善方法は、保健サービスの手に届く範囲の外側にある
 
1998年のアチソン報告書の提言
健康の社会的決定要因の第1波として我々が考えられるものは、物質的貧窮や生活条件に根ざした「健康の物質的な社会的決定要因」である
健康の社会的決定要因の第2波と呼べるものを構成しているのは「健康の心理的な社会的決定要因」である
 
保健制度は健康にとって、そんなに重要ではない
⇒なぜ皆保険制度に関してお金や労力をつぎ込むのか
2つの応答
①皆保険制度の健康に対する効果は、ある特定の人々にとって、とりわけ生活の質に関して、非常に重要なものなのかもしれない
②皆保険制度には、たとえそれが見出しにくいものだとしても、別の恩恵がある
⇒別の恩恵とは何かを理解するために必要な「健康セキュリティ」という考え方
 
セキュリティとはリスクや脆弱性の逆
健康セキュリティの欠如による悪影響
⇒疾病の世界的流行、バイオテロ、気候変動は公的な健康セキュリティに対する脅威
健康セキュリティには単なる健康以上のものがあり、4つの側面に区別される
①脆弱さ
脆弱さあるいは病気になる蓋然性は健康の結果をモニターすることで明らかになり、疫学の対象
②コントロール
健康上のリスクを減らすためにとる軽減戦略のコストや困難さのこと
健康をコントロールする手段をとるための費用と困難さという点で、健康の物質的な社会的決定要因と関連する
③回復力
健康上の不利益な出来事のあとに人々が「立ち直る」能力
病気の帰結とこれらの帰結を緩和するための方策をとることのコストと困難さ
 
病気の帰結とそれを緩和する能力は主に3つのカテゴリーにわけられる
①医療的帰結:病気と回復の物質的・現象学的な側面を含み、受けられる治療の水準も入る。
緩和する能力:ある人がケアにアクセスし、その利益を受ける能力
②社会的帰結:家族、友人、同僚などといったあなたの周りの人々の態度が含まれる
緩和する能力:疾病について公衆を教育する政府の取り組みや支援する社会ネットワークを作る各人の能力を助けるために政府がとることの出来る方策
③経済的帰結:潜在的な収入の減少のみならず、医療サービスの費用それ自体も含む
緩和する能力:医療・失業保険の費用と加入のしやすさ
 
④不安
病気になることへの恐れや心配
 
 
引用参考文献
ジョナサン・ウルフ 大澤津・原田健二郎(訳)(2016).「正しい政策」がないなたどうすべきか 勁草書房