殺気の備忘録

読んだ本の内容についての備忘録

戦略・戦術

マキャベリの教練上の原

1.敵にとっての利益は味方にとって不利益であり、その反対の場合は利益と不利益もまた相反する。

2.敵の運動と企図に最大の注意を払い、兵の訓練に絶大の努力をしておけば、危険に陥る可能性は最小に、成功の公算は最大になる

3.部隊の士気が横溢し、軍紀も整い、戦意も盛んでなければ戦ってはならない。また勝利の疑いなしとの確信が得られるまでは戦うべきではない。

4.もし可能ならば剣によって敵を降すよりも、糧食の欠乏によって降伏に追い込む方を可とする。というのは運命は深慮遠望や勇気よりも勝利に影響するところ大だからである。

5.実行の時機が熟するまで、企図の秘匿に成功すれば、その分だけ勝利の見込みは増大する。

6.好機を発見したならば、これを最大に利用することが戦時においては何よりも重要である。

7.天性勇敢な人間は少ないが、教練と経験によって勇敢になる人々は多い。

8.士気横溢した軍隊よりも、軍紀と訓練の行き届いた軍隊の方が信頼が置ける。

9.敵兵が脱走して我に投降してくれば、多くの利益を得ることができる。ただし彼が忠実であることを証明した後のことであるが。敵にとっては兵の脱走は戦死よりも痛手である。もちろん脱走者が猜疑の眼で見られ、旧友からは憎まれることは当然ではある。10.軍隊を戦闘隊形に部署するには、現在通用している単列で横長よりも、縦長を深くして必要の際には前線を救援できるだけの予備隊を確保する方が得策である。

11.首将が我を知り、彼を知っているならば百戦しても殆くはない。

12.兵の資質は兵数に優り、地形の良否は兵の資質に優る。

13.不慮の突発事は軍に混乱を醸すが、あらかじめ熟知した事柄もしくは緩慢に発生する事柄はパニックを起こさない。したがって新たな敵と交戦する場合には、小あたりに斥候線を試み、敵の手並みを承知しておく必要がある。

14.退却する敵を追撃するに際して、隊伍を紊して闇雲に突進していけば、多くの場合、自己の壊滅を招き、せっかく得た勝利をも失うことになる。

15.食糧ならびに軍需品の充分な蓄積を行なうという配慮を怠った者は、敵の攻撃を一回も受けることなく滅亡に到る。

16.我が騎兵が敵の歩兵を圧倒し、また我が歩兵が敵の騎兵を圧倒しうるよう、適当の地形を選択しなければならない。

17.敵の間諜が昼間、宿営地に潜入したことを探知した場合は各人を各自の天幕に待機させるしか対処の手段はない。

18.敵が我が企図を察知したことを承知したならば、ただちに計画を変更しなければならない。計画に多数の人間が関わっているならば、断然実行するに際しては少数者のみに協議すべきである。

19.駐軍の間は士卒を畏怖と厳罰を以て良好なる軍紀を保たしめ、戦場にあっては希望と褒賞を以て希望を鼓舞すべきである。

20.良将は明白な必要に迫られたときか、大なる利益を得る見込みがない限り、みだりに交戦を行うことはない。

21.大なる注意を以て、敵が我が戦闘配備を探知しないよう努めなければならない。第一線は第二線に、これら2線は第三線に容易に収容できる配置が望ましい。

22.実戦に際して、一旦任務を受けた大隊に、別の任務に就くよう変更を命じることは禁物である。これは全軍の秩序を破り、混乱を来す虞れがあるからである。

23.予期せざる突発事を回避することは困難である。だが予見できる事柄は除去もしくは対処の手段がある。

24.兵員、武器、財貨、食糧は戦争中の資源である。とくに兵員と武器は重要である。この両者があれば、後の二者は入手が可能であるが、前二者は入手困難なのである。したがって武器を持たざる富者は良く武装した貧士の好餌となってしまう。

25.兵卒をして日常、柔弱で怠惰な生活を蛇蝎のごとく嫌悪する良習に慣れしめ、その衣食の贅沢、優美を賎しむ美風を馴致すべきである。

 

 

ロイドの作戦線の定理

1.攻撃を企図する前線の性質ならびに兵站倉庫の配置からして可能であるならば、最短かつ最も障害の少ない作戦線を選択しなければならない。

2.敵が我が側面すなわち我が作戦線を脅かすことのできない前進方向を選択するべきである。敵が我が軍の前進する右もしくは左の地域を占領しているならば、深く前進すればするほど、確実に我は敗北に近づいていく。というのは容易に兵站倉庫との間の背後連絡線を遮断されるからであり、容易に敵に包囲され殲滅されるだろうからである。

3.作戦線は最終の目標に向かっていなければならない。さもなければ十度が十度、見事に会戦に勝利を収めようとも、結果は虚しいからである。

 

ジュミニの基本原則

1.戦略的運動によって大兵力を自軍の連絡線を危険にさらすことなく、可能な限り敵の連絡線もしくは戦地に投入すること。

2.我が全力で敵の分力と戦うよう機動すること。

3.戦闘が行われるときには、戦術的運動によって大兵力を戦場の決勝地点もしくは前線の最も重要な地点に投入すること。

4.これらの大兵力は決勝地点にただ存在するだけではなくて、活発かつ一斉に戦闘に加入すること。